emとは


CSSで扱う単位、emとは何の略なのか究明してみた。


まず勘違いしてはいけないのが、HTMLの<EM>タグとはまったく関係ないということ。この場合のEMはEmphasisの略で、「強調」という意味があります。

<EM>−HTMLタグリファレンス
http://www.htmq.com/html/em.shtml


CSSでのem(エム)は、px(ピクセル)やpt(ポイント)と同じように単位として扱います。これは印刷業界で用いられていた単位です。Wikipediaの書体のページでは、以下のような説明があります。

書体 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9B%B8%E4%BD%93
ある活字のサイズを一辺とする正方形を、組版における相対的な長さの単位としたものがem(エム)である。例えば、12ポイントの活字での1 emは12ポイントであり、14級の活字での1 emは14級である。emという呼称は大文字Mに由来しており、古くはMの活字の字幅とボディサイズがほぼ一致し、正方形に近かったためとされる。


組版とか専門用語がでてきてるので、印刷業界以外の人にはわかるづらい思いますが、要は大文字のMを基準としたサイズということになりますね。図があるとわかりやすいです。

※これは後述するPDFに含まれている図です


まず注目してもらいたいのが、和文と欧文では文字の扱いが違うということです。和文(ひらがなや漢字)は基本的に縦と横のサイズが同じ正方形でデザインされています。しかし、欧文ではjやpやqのように、下に伸びる文字もありますし、さらにわかりづらいですが、dやfやlのように、上にほんの少しハミでる文字もあるんですね。


このように形がバラバラな欧文の中で、正方形のボディでデザインされているMが基準となりました。これがem(エム)という単位の由来になります。ではなぜmではなく、emなんでしょうか?きっと多くの人はeがなにかの略語なんだと思ったはずです。


この答えはアルファベットの歴史をさかのぼると解明することができます。アルファベットといっても、ギリシア文字・キリル文字ラテン文字ルーン文字というようにいろいろあるんですが、われわれ日本人が一般的にアルファベットと読んでいるのは、ラテン文字のことです。このラテン文字にも地域によっていろいろな系統があります。例えばアメリカで使われている文字も、スペインで使われている文字も、フランスで使われている文字もみんなラテン文字ですが、かなり違いますよね。


で、Wikipedia(英語版)のラテン文字のページを見ることでemの存在が確認できます。

Latin alphabet - Wikipedia, the free encyclopedia
http://en.wikipedia.org/wiki/Latin_alphabet

ラテン文字のMと、ついでにXの部分を抜粋しました。

Letter(文字の形) Name(文字の名称) Pronunciation(文字の発音)
M em /em/
X ex /eks/

ラテン文字では元々、mという文字の名称がemなんです。だからemという単位になったわけですね。

参考URL

EM - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/Em

エム - 図解DTP用語辞典
http://www.japanlink.co.jp/dtpjiten/e/em.html

印刷技術についてよくわかるPDF("フォントのサイズ"で検索するといいです)
http://www.jagat.or.jp/pdf/books/21101064.pdf